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コンタクトレンズは高度管理医療機器です。必ずご購入前に眼科医の検査・処方を受けてからお求めください。
ご使用の前に必ず添付文書をよく読み、眼科医の指示を守り正しくご使用ください。

目について知ろう

ものが見える仕組み

分かりやすくカメラに例えてみましょう。

カメラは、シャッターを切った瞬間に光がレンズを通り、フィルムに像が焼き付けられるという仕組みです。実は私たちの目もこれと同じ働きをしています。光が角膜と水晶体(これがレンズ)を通った時に屈折し、網膜(これがフィルム)で像を結びます。今まさにこの文章を読んでいるあなたの目も、光を網膜で感じ取って文字を認識しているわけです。

実際に写真を撮る時には、シャッターを切るまでにピントを合わせたり、絞りやフィルム感度の設定といった調整作業を行います。同様に、やはり目にもそれと同じような役割を果たす部分があります。

それでは改めて目の仕組みを詳しく見ていきましょう。

目に入った光は、まず「角膜」という透明な膜を通過します。レンズの前のフィルターのようなものですが、前方にカーブを描いて張り出しているので凸レンズの役割も果たしています。

角膜の奥には「虹彩」という組織があり、目の奥に入る光の量を調整してくれます。この光彩の中央部にあるのが「瞳孔」です。猫の目を思い出してみてください。瞳孔は明るいところでは小さく、暗いところでは大きくなりますよね。つまり、カメラに例えると絞りに相当します。

光が屈折する「水晶体」は、「毛様体」から出る細い糸で固定された厚さ約5mmの透明の組織です。この毛様体の筋肉が伸び縮みすることで水晶体の厚みは変わります。遠くを見る時は薄く、近くを見る時は厚くなって、ピントを合わせてくれるのです。

水晶体の後ろには「硝子体」という眼球の大部分を占める透明な組織が存在します。水晶体で屈折した光が網膜に像を結ぶためには一定の距離が必要です。カメラでもやはりレンズとフィルムの間は空間がありますが、それを作るのがこの硝子体になります。

そして、フィルムとして像を結ぶ「網膜」には、光の明るさや色合いを感じる視細胞が集まっています。ここに到達した光の情報は、視神経を通り、脳の中の視覚野という部分に送られ、ようやく映像として認識されるのです。

私たちがものを視覚的に認識する行為は、「見る」というたった一言で表されますが、実はこれだけの複雑な工程を経てなされているわけです。

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「見える」ようになるまで

ものを「見る」という行為は網膜に像を結ぶだけではなく、脳がその像を認識するまでの工程をいいます。つまり、「目(=入力機能)」と「脳(=処理機能)」が一緒に働いてこそ「見る」ことができるわけです。

さて、私たちは今でこそ息を吸うように「見る」という行為を当たり前のこととしてできていますが、実はこのものを「見る」という機能は、産まれてから6歳頃までに形成された機能なのです。

実は、産まれたばかりの赤ちゃんはまだ明暗がわかる程度の視力しかありません。目もまだ未発達なので、入力機能すら満足にいきません。ここから目および視機能が発達し、入力を積み重ねることで、情報を読み取る力というものを学んでいくのです。

このように、「見る」ということは、目の発達だけでなく、経験によって脳が発達することで形成されていく機能なのです。

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視力

視力は「()」る「力」と書きますが、「『視』力」とは、対象物をどれだけ細かく見分けられるかを表す尺度のことです。

よく「目がいい」「目が悪い」という表現を使いますが、これは正確には「視力がいい」「視力が悪い」という意味になります。健康診断、運転免許の取得・更新のときに測るのも視力です。もし視力がなければ、視界がかなりぼんやりしていてもそれが正しいものだと思ってしまいます。なぜなら当人にはそのようにしか見えないからです。そのために視力と尺度が設けられました。

さて、「視力」と一言でいっても、実はいろいろな視力があります。「動体視力」なんて言葉を聞いたことがありませんか?これは動いているものを見る力であって、コンタクトレンズを作るときに測定するのは「静止視力」になります。静止視力はアルファベットのCのような形(ランドルト環)のどこに切れ目があるかという検査で測定します。

このランドルト環の切れ目の両端が目に入る角度を「視角」といいます。見分けられる視角が1分(1°の60分の1)の時の視力を1.0になります。視角が2°になれば、視力は2分の1で0.5になります。逆に、視角が0.5°になれば、視力は0.5分の1で2.0となります。このようにして私たちの対象物を見る力は数値化されているのです。

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屈折と調節

目が見える仕組みはカメラに例えられる通りです。凸レンズの役割を担う角膜が光を屈折させ、フィルムの役割を担う網膜に像を結びます。ただし、必ずしも対象物の距離は一定ではありません。さまざまな距離にピントを合わせるには、この屈折率を調節する必要があるのです。

私たちの生活を思い返してみましょう。運転をするときは遠くを見るでしょうし、パソコンやスマホをいじる際には手元近くを見ています。つまり、私たちは無意識ですが、まるでカメラのオートフォーカスのように、対象物によって光の屈折率を調整し、目のピントを合わせているのです。これを目の「調整」機能といいます。

「調整」機能を果たすのが水晶体と毛様体筋です。普段は薄い水晶体ですが、近くを見るときには毛様体筋に押し込められ厚みを増します。こうして水私たちは晶体(レンズ)の厚みを変えて、光の屈折率を調整しているのです。

毛様体筋は近くを見るときに緊張しますので、近くを見続けると目が疲れます。逆に、目が全く調節機能を使っていない、遠くを見ているときこそが一番リラックスした状態なのです。そして、このリラックス状態で遠くを見たとき、網膜にきちんとピントが合う屈折状態の人を「正視」というのですが、正視の人は少なく、大多数は屈折異常を起こしています。それが「遠視」・「近視」・「乱視」の人たちなのです。

【遠視】

網膜よりも後ろでピントが合ってしまう屈折状態を「遠視」といいます。ピントが、網膜よりも後ろであるため、遠くを見るピント合わせにはレンズを厚くする必要があります。遠視は遠くがよく見えるといいますが、遠くを見る際に毛様体筋を使っているため目が疲れます。

【近視】

逆に、網膜よりも前でピントが合ってしまう屈折状態を「近視」といいます。近くを見るときには調整力が使えるのでよく見えますが、遠くはあまり見えずぼんやりとした感じになります。これは目の調整ではどうにもなりません。小中学生でも近視の割合が年々高まっているといわれています。

【乱視】

どこにもピントを合わせられない屈折状態を「乱視」といいます。乱視が強くなると、遠くのものも近くのものも関係なく、ぼんやり見えたり、ぶれて見えたり、上下左右にダブって見えたりします。遠視や近視の人でも乱視は合併しており、それぞれ近視性乱視、遠視性乱視などと呼ばれます。

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年齢と視力の関係

人間にとって、「老い」は自然の摂理であり誰にでも訪れるものです。老いは目にとっても例外ではなく、目の機能も衰えさせます。ぜひ、目と老いの関係についても知っておきましょう。

なお、人により老いの速度は異なるため、年齢は大体の目安としてお考えください。

【幼年期(0~5歳ごろ)】

産まれた手の赤ちゃんの視力が0.02程度、1歳ごろに0.1程度といわれています。大人の近視でも同じぐらいの度数の方はいますが、近くは見えます。しかし、赤ちゃんの場合は距離に関係なくぼやけて見えています。その後、視力は3歳ごろまでに急速に発達し、4~5歳ころまでに子ども向けの視力検査で1.0まで発達しますが、もし1.0になる前に何らかの原因で視力の発達が止まってしまうと「弱視」になってしまいます。この期間はとても大切な期間で、その感受性の強さは0~2歳ごろではたった1日眼帯をしただけでも視力の発達に影響が出るほどだといわれています。

【少年期(6~14歳ごろ)】

視力の発達は、8歳くらいまで続きます。そのため、小学校低学年の子の視力は環境により激しく変化します。この時期にゲームなどをやり過ぎると、近視になる可能性が高いので注意しましょう。この時期の子どもには自分の視力が弱いという自覚症状がないため、親が気づいてあげることがとても大事なのです。

【青年期(15~30歳ごろ)】

10代のうちは、視力の変化は頻繁に起こります。学校で行う視力検査はもちろんですが、多少なりとも見え方に異常を感じたら眼科検診を受けるといいでしょう。20代になると視力は安定してきますので、きちんと目の健康管理をしていれば、10年あるいはそれ以上、視力を同じレベルで維持できます。

また、コンタクトレンズデビューを果たす人のほとんどがこの時期のようです。コンタクトレンズの使用を始めるのにふさわしい年齢というものはありませんが、見え方に悩みを感じ、コンタクトレンズに少しでも興味を持ってるのならチャレンジしてみるといいでしょう。

【壮年期(31~44歳ごろ)】

30代も後半になってくると目の力の衰えを実感する人が多いようです。代表的な症状が「老眼」で、加齢により目のピントを合わせる調整機能が落ちることで生じます。30代後半から40代にかけて徐々に近くが見えにくくなってきます。老眼には老眼鏡というメガネを用いて対処することはよく知られてますが、コンタクトレンズで対処することも可能です。度数を弱くして近くを少し楽に見えるようにしたり、遠近両用のコンタクトレンズなどもあるので試してみましょう。

【中年期(45~64歳ごろ)】

老眼がより進行し始めたり、目の病気になりやすくなるのがこの中年期です。本格的に目の筋肉が柔軟性を失ってしまい、近くにある物体に対してピントが合いにくくなります。暗くなるとものが見えにくかったり、青と緑の区別が難しくなることもあるかもしれません。見え方に変化を感じたら眼科に相談しましょう。マルチフォーカルの遠近両用コンタクトレンズなら視点移動もストレスなく見えるようになるはずです。

【高年期(65歳ごろ~)】

60代を過ぎると、白内障になる人が増えます。60代で7割、70代で9割、80代を過ぎるとほぼ100%の人に白内障の症状が見られるといわれます。白内障とは、無色透明だった水晶体が灰白色や茶褐色ににごり、ものがぼやけて見える、視界がかすむ、眩しいなどの症状が発生します。

白内障を完全に治すには手術しかありません。手術では、濁った水晶体を取り除き、人工の水晶体(眼内レンズ)を挿入します。手術後は、ほぼ100%の確率で視力が上がります。どこまで回復するかどうかは、水晶体の状態などによっても異なりますが、視力補正が必要ないぐらい見えるようになる方もいるようです。

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