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老眼とは?症状や原因、進行を遅らせる方法を解説

HOW TO 2024.07.17

老眼とは?症状や原因、進行を遅らせる方法を解説

年齢を重ねて「近くのものが見えづらい」「見たいものにピントが合わずぼやけてしまう」と感じている方は、老眼が進行している可能性があります。

そもそも老眼とは、どんなことが原因で、どんな状態になることを示すのか、皆さんはご存知でしょうか?

この記事では老眼の基礎知識や、老眼の進行を防ぐための大切なポイントについて、眼科医の河内敏先生が解説します。

老眼とは?

老視とは、近くを見たり遠くを見たりする際、目が見たいものにピントを調節する力が年齢によって衰えることによりおこるものです。

私たちの瞳は、毛様体筋という眼球の筋肉が働くことで、カメラのレンズの役割を果たす水晶体の厚みが変化し、見たいものにピントが合う構造になっています。近くを見るときは毛様体筋が収縮して水晶体が厚くなり、遠くを見るときは毛様体筋が弛緩することで水晶体が薄くなってピントが合う仕組みです。

年齢とともに足腰などの筋肉が衰えるのと同様に、毛様体筋の伸縮性や水晶体の柔軟性が低下することで引き起こされるのが老眼なのです。

老眼の症状

老眼は一般的に40歳くらいから進行する人が多くなります。

症状としては、見たいものにピントを合わせるオートフォーカスの力(調節力)が衰えるため、もともと遠視気味の人(遠くを見やすい人)は近くが見えづらくなり、近視気味の人(近くを見やすい人)も近くがが見えづらくなります。

ただし、前述の通り、近くを見るときの方が毛様体筋を収縮させる(つまり筋力を使う)ので、機能が衰えて近くが見えづらくなることが老眼のメカニズムと言えます。

目安として、目から30センチ先のものが見えづらくなったら老眼のサイン。遠視や近視の人は、いつもかけているメガネやコンタクトレンズをつけた状態で確認しましょう。

老眼と遠視の違い

老眼と遠視は「近くが見えづらい」という症状が同じなので混同されがちですが、老眼は目の機能が衰えてピントの調整力が低下する現象であるのに対し、遠視は生まれもった目の構造上の問題です。

眼球の大きさや形には個人差があり、眼球が標準よりも小さいと網膜の後方でピントが合う状態、つまり遠視になり、近くが見えづらくなります。ちなみに、子どもに遠視が多いのは成長段階で眼球が小さいから。成長とともに眼球も大きくなり、遠視が解消される場合もあります。

老眼の原因

老眼の原因は、ずばり加齢です。

前述の通り、年齢とともに毛様体筋の筋力が落ち、伸縮力が低下していきます。また、水晶体も年齢とともに柔軟性が失われて硬くなり、厚みの調整がしづらくなります。

若い人に増えている「スマホ老眼」とは?

最近では40代以上に限らず、若い人の間でも、俗に「スマホ老眼」と呼ばれる症状の人が増えています。これは、スマートフォンの画面を長時間至近距離で見ることで、毛様体筋が緊張した状態が続いて凝り固まってしまい、ピント調整がしづらくなる症状です。

一過性の症状ではありますが、続けていると老眼を早める原因になります。スマホ画面の明るさを調整する、ブルーライトカットのフィルムを貼る、睡眠をしっかりとるなどのケアを心がけましょう。

老眼の進行を遅らせるせるためのポイント

老眼は加齢とともに進行するため、病気のように治すことはできませんが、進行を遅らせるためにできることはたくさんあります。

最後に、その具体的な方法を3つ紹介します。

紫外線対策

1つ目は、紫外線をカットすることです。紫外線をたくさん浴びることで水晶体のタンパク質が変性を起こし、柔軟性が失われるため、水晶体の厚みが調整できなくなり、老眼に近づいてしまいます。

特に屋外で日差しを浴びる時間が長い人はUVカットサングラスや日傘を使ってしっかりと対策をしておきましょう。

紫外線対策の記事はこちら

目のストレッチ

2つ目は目のストレッチです。ヨガやトレーニングで体を動かすように、日頃から目の毛様体筋と水晶体を動かし、筋力や柔軟性を維持しておくと老眼を遅らせる効果が期待できます。

簡単にできる目のストレッチ方法をご紹介します。

目の前で自分の人差し指をゆっくり動かし、近づけたり遠ざけたりしながら指紋にピントを合わせてみましょう。毛様体筋が伸縮する感覚を実感できると思います。

また、日頃パソコンやスマートフォンの画面を近くで見ることが多い人は、毛様体筋の緊張状態が続くのを防ぐ方法として、アメリカの眼科学会が推奨している「20-20-20」を実践してみてください。20分に1回、20フィート(約6m)離れたところを20秒間見るという方法で、誰でも気軽に実践できます。

日常的なケア

3つ目は日常的に目の状態に意識を向けてケアすること。

ホットアイマスクで目を温めて血流を良くし、溜まった乳酸(疲れの原因)を洗い流すことや、コンタクトレンズを使っている方は専用の装着液でレンズ装着時のゴロゴロ感を緩和して水晶体への負担を和らげるなど、日頃から目を労わってあげると良いでしょう。

WAVEピュアドロップ

将来の目のために、今できること

老眼によって近くのものが見えづらくなることは、遠くを見つめて視野を広げ、人生をより豊かにすることを伝える、瞳からのメッセージなのかもしれません。

しかし、日頃から目のケアを怠っていると、30代で老眼が進行してしまう場合もあります。目の仕組みを理解したうえで、改めて自分の目に意識を向けてみると、毎日の過ごし方も変わってくるでしょう。

今回紹介した内容を参考に、ぜひ日常でできることを実践してみてはいかがでしょうか。

河内敏

眼科医 河内敏(かわち さとし)

眼科医歴20年以上
現在はWAVE専属眼科医として、実店舗「レンズアップル 千葉店」に併設されている「ふくろうアイクリニック」の院長を務めながら、製品やアプリ開発の監修やコンテンツの企画にも携わっている
学歴:平成11年3月 日本大学医学部 卒業
職歴:日本大学医学部附属板橋病院
   横須賀市立市民病院
   太田眼科クリニック

Staff Credit

Text: Shingo Shimojo